IT業界の社会悪『多重請負』とは?

Posted on by IT奴隷

IT業界にはびこる下請構造

IT業界では、大手の「NEC」「富士通」「NTTデータ」「日本IBM」といったシステムインテグレータが大きな案件を受注します。しかし、彼らは内製でそれらの案件をこなしている訳ではなく、営業・コンサルタントといった上流工程を担当し、実際の実装工程は下請会社へ発注することが少なくありません。ここで言う「実装工程」とは、機器類の設定・設置からプログラミングまで、多様に渡ります。

なぜIT業界の多重請負が問題視されるか

IT業界の多重請負にはいくつか問題を抱えており、代表的なものを紹介します。

エンジニアが交換可能なモノ扱い、故にエンジニアが育たない

ある元請け企業では、下請け企業のエンジニアを資材部で管理します。よって、モノとして扱っており、トラブルが発生した際には、工数を埋めるべく代わりのエンジニアを要求します。
このようなエンジニアは非人道的な環境で労務しており、スキル不足やパワハラ、不適切なマネジメントといった結果からメンタルを病んでしまうエンジニアも多く、また適切なトレーニングもされず現場に投入されるため、「実際に自分たちが何をしているのか」を理解できず、結果としてエンジニア自身のスキルが育ちません。

多重請負の末の「客先常駐勤務」

多重請負契約の中で、勤務先を客先常駐としている契約が多々あります。これにより、何層にわたっても元請け企業もしくは中間の企業の現場に毎日「出向」する事になります。実質それらは派遣と何ら変わらず、平成27年度から「特別労働者派遣事業者」(通称:特派)については法改正が始まっています。
その他、労働基準法・職業安定法といった法のグレーゾーンが「客先常駐勤務」です。

中間搾取により、エンジニアが適切な対価を得ることができない。

さて、多重請負と言いますが、もちろん1階層(通称:1枚)噛むことにより、中間マージンを引かれる事となります。例えば3枚噛んだ例として、元々の金額は60万円のところ、末端のエンジニアには月額20万円しか支払われなかった例があります。
多くの場合、人月工数(1人が1ヶ月でどれだけの時間仕事をするか)をベースに計算されるため、同業他社間で価格勝負となる事が多く、単価の安い業者に仕事が流れやすくなります。よって、エンジニアとは言えど素人同然の人物が組み込まれる場合も多々あります。

おわりに

多重請負は日本独自の産業構図であり、エンジニアを使い潰し続ける形であることは確かです。また、できるエンジニアには客先での営業(同業他社から案件を奪うこと)も課せられ、余計にプレッシャーとなっています。
これらをぬけ出すためには、やはり自身の技術力を身につけ広い視野で見渡すこと、必要であれば同業他社でのポジションを探すことも必要です。